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「人の声」のつくりかた:声を「目で見て」みよう!(後編)

前回は、音声のスペクトログラムリーディングについて紹介してみましたが、今回は、読み取りのポイントについて、もう少し詳しく紹介してみたいと思います。

スペクトログラムリーディングでは、フォルマントから母音を読み取ることが何と言っても重要な手がかりになっていますが、発話内容を理解するうえで欠かせないのが子音の読み取りです。そのなかでも、とくに破裂音と摩擦音の読み取りが重要なポイントといえるでしょう。

まずは破裂音から見ていきましょう。声道を閉鎖し、呼気をため、つづいて瞬間的に破裂させることで音声を生成するのが破裂音の特徴です。日本語では、カ行、タ行、パ行の子音に破裂音が現れます。

図1は、「アキ」と発声したときの音声のスペクトログラムです。音声記号では[aki]となりますが、[a]と[i]の区間については、それぞれの母音をフォルマントから特定することができます。一方、[k]の区間は、破裂音の特徴である閉鎖によって無音区間が現れるため、スペクトログラムをながめると真っ白になる部分が現れます。こうした無音区間を見つけることが破裂音の読み取りの手がかりになります。

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図1 「アキ」と発話したときのスペクトログラム

つづいて摩擦音です。声道をせばめ、隙間に呼気を勢いよく通過させることで音声を生成するのが摩擦音の特徴です。日本語では、サ行、ハ行の子音に摩擦音が現れます。

図2は、「アシ」と発声したときの音声のスペクトログラムです。音声記号では[aɕi]となりますが、[a]と[i]の区間については、それぞれの母音をフォルマントから特定することができます。一方、[ɕ]の区間は、摩擦音の特徴であるせばめによって摩擦区間が現れるため、スペクトログラムをながめると高周波域に黒く塗りつぶされる部分が現れます。こうした摩擦区間を見つけることが摩擦音の読み取りの手がかりになります。

余談ですが、音声記号では、サ行は「sa、ɕi、sɯ、se、so」と表記します。このように、シだけは[ɕ]で、ほかは[s]の記号を使うことがルールになっています。ヘボン式ローマ字では、サ行は「sa、shi、su、se、so」と表記し、シだけは「shi」と表記しますが、じつは、シはシャ行に属し、本来のサ行ではない音であることから、音声記号もヘボン式ローマ字も、シの表記は特別扱いになっています。

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図2 「アシ」と発話したときのスペクトログラム

ところで、日本語の音声には、もうひとつ、破裂音と摩擦音が連続する破擦音と呼ばれる音があります。日本語では、「チ」と「ツ」の子音に破擦音が現れます。図3は、「アチ」と発声したときの音声のスペクトログラムです。音声記号では[atɕi]となりますが、[a]と[i]の区間については、それぞれの母音をフォルマントから特定することができます。一方、[tɕ]の区間は、破裂音の特徴である無音区間、摩擦音の特徴である摩擦区間が連続して現れることがわかります。

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図3 「アチ」と発話したときのスペクトログラム

破擦音の音声記号は、破裂音と摩擦音の音声記号を組み合わせたものになっていることに注意してください。余談ですが、音声記号では、タ行は「ta、tɕi、tsɯ、te、to」と表記します。このように、チは[tɕ]、ツは[ts]で、ほかは[t] の記号を使うことがルールになっています。ヘボン式ローマ字では、タ行は「ta、chi、tsu、te、to」と表記し、チは「chi」、ツは「tsu」と表記しますが、じつは、チはチャ行、ツはツァ行に属し、本来のタ行ではない音であることから、音声記号もヘボン式ローマ字も、チとツの表記は特別扱いになっています。

さて、こうしたポイントをおさえると、どのくらいスペクトログラムリーディングができるようになるか、ここで、クイズを出してみます。図4のスペクトログラムから発話内容を推測し、5つの選択肢のなかから答えをあててみてください。


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1.かしつ
2.かすてら
3.べっさつ
4.まっしろ
5.かせき

図4 スペクトログラムリーディングの問題

じつは、これは、言語聴覚士の国家試験に、過去に実際に出題されたことがあるスペクトログラムリーディングの問題です。この問題は、破裂音と摩擦音の読み取りがポイントになっているのですが、正解がわかった方は言語聴覚士の素質があるかもしれませんね。

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