消費増税やキャッシュレス化で変化するユーザーの意識と行動
日本を代表する2大共通ポイントと言えば、「Tポイント」と「楽天スーパーポイント」。その会員数はTポイントで約6900万人(2019年7月実績)、楽天スーパーポイントで1億人以上(2019年9月実績)と言います。一つのポイントカード(アプリ)で、複数のお店のポイントが貯まり、そのポイントを1ポイント=1円として加盟店ならどこでも利用できる利便性の高さで日本全国に普及しました。しかし、最近は共通ポイントに不穏な空気が流れています。たとえば、昨年は伊勢丹三越やドトールコーヒーをはじめTポイントから離脱する事業者のニュースが相次ぎました。また、昨年楽天が出店者に送料無料化を伝達したことで出店者の不満が募り、2019年10月には楽天ユニオンが自然発生的に結成。楽天ユニオンは楽天の規約変更が独占禁止法に抵触するとして公正取引委員会に調査を求め、同委員会は1月28日に調査を開始しました。今、共通ポイントに対する事業者の不満が募ってきているのはなぜでしょうか。対してユーザーの共通ポイントに対する意識はどうでしょうか。そこで、より快適なスマートフォンライフを創造するために研究調査しているスマートサウンドラボ(以下、SSL)は全国の20代〜60代の男女100人を対象に共通ポイントに対する意識調査を実施しました。調査の結果、Tポイントと楽天スーパーポイントでポイントの使い方で大きな違いがあることがわかりました。
楽天スーパーポイントユーザーの7割以上がポイントを使う場所とは?
「あなたは貯めたポイントを、どのように使いますか?あてはまるものすべてを教えてください」とTポイントと楽天スーパーポイントを利用しているユーザーにアンケート調査をおこないました。両ユーザーとも100%に近い割合で、「いつも購入している店舗でポイントを使う」と回答している一方で、楽天スーパーポイントは79人中57人(72.2% *赤枠部分)がポイントを「今まで商品を購入したことがない店で使う」と回答しました。商品を購入したことのない店でポイントを利用している人の70%以上がEC店舗での購入でした。対してTポイントのユーザーは、95人中39人(41.1% *赤枠部分)がポイントを「今まで商品を購入したことがない店で使う」と回答。この結果を受けSSL所長の安田は「ポイント利用のみをしている店舗に対しては、ユーザーのブランドロイヤリティは店舗に醸成されているものではなく、楽天スーパーポイントに醸成されている。つまり、共通ポイントではブランドロイヤリティの醸成は難しいことがわかる」と分析します。
ユーザーは共通ポイントと個店のポイントを使い分けしていることが判明
SSLが共通ポイントではない個別のポイントカード(アプリ)に関してもアンケート調査を実施したところ、「単独のお店でしか使えないポイントカード(アプリ)を、あなたは持っていますか?」の問いに対して、60%以上が「持っていて、日常的に使っている」と回答しました。この結果に対し安田は「キャッシュレスの流れから財布レスや財布のコンパクト化が進んだことで、ポイントカードのデジタル化も急速に進んでいる。財布ではなくスマホでデジタルポイントカードを持ち運べるようになったことで個別のポイントカードへのハードルは低くなり、ユーザーがポイントカードをより賢く使い分けるようになった。また、昨年の消費増税時から始まったキャッシュレス支払いで2〜5%のポイント還元制度によって、ユーザーのポイントに対する意識も高くなったことが予想される」と話します。
ポイントカード(アプリ)は本来顧客のブランドロイヤリティをあげ、お店のファンになってもらうための施策。しかし本調査によって、共通ポイントは店のブランドロイヤリティを醸成するのではなく、ポイントを利用してよりおトクに暮らそうという 『ポイ活』を助長させていることが判明しました。共通ポイントにおける加盟店撤退の増加や出店者の不平不満が募る中、運営社はユーザーだけではなく、加盟店にもメリットがある"時代にあった"新しい施策を迫られています。
まとめ
- 楽天スーパーポイントのユーザーの7割以上が貯まったポイントを、商品を購入したことがない店舗で利用していることが判明した
- 楽天ポイントに関しては、ブランドロイヤリティは店舗でなく楽天に醸成されている可能性が高い
- 共通ポイントではない個店のポイントカード(アプリ)を持っていて、日常的に使っている人は全体の6割以上いることがわかった
- 増税時のポイント還元やキャッシュレス促進の各社のキャンペーンにより、ユーザーのポイントに対する意識が高まっている
- キャッシュレス化の流れによる財布レス/財布のコンパクト化が進む中で、ポイントカードのデジタル化も進み、ユーザーがデジタルポイントカードを持ちやすくなり、共通ポイントと個別のポイントを使い分けていることがわかった
参考記事:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70271
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【スマートフォンによる決済サービス利用者の実態把握調査】
調査主体:SMART SOUND LAB
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象: 全国の20代〜60代の男女100人
調査時期:2020年1月28日〜29日
※ 本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※ 百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。