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販売シェア1位のLMS(授業支援システム)「 manaba 」、出席管理に音波通信を採用したワケ 〜導入から8ヶ月、現場のリアル〜

全国で99校、利用者81万8千人を誇る授業支援システムである、株式会社朝日ネットの「 manaba 」。その出席管理機能に採用されたのが、株式会社スマート・ソリューション・テクノロジーが提供する音波通信を活用した認証サービス「TrustSound(トラストサウンド)」です。2022年4月から manaba で利用可能になり早速2校で運用開始、また現在全国の大学でデモやトライアルが(大好評!)展開中です。

音波通信ってなに?なぜ音波?ユーザーの感想は?
そんな読者の声に応えるべく、音波通信のメリット、デメリットなど現場のリアルを聞きました。

お話を聞いた人

株式会社朝日ネット
上席執行役員
小松 大(こまつ・まさる)さん

株式会社朝日ネット
manaba営業部 
担当課長
田尻 好美(たじり・よしみ)さん

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manabaが、ICカードでもBluetoothでもなく音波通信を出席管理に採用したワケ

SSL (以下、 ) インターネット接続サービス 「ASAHIネット」 を運営している(株)朝日ネットは、2007年に教育支援システム(LMS)の開発・販売を始めました。現在「 manaba 」は、販売されているLMSとしては業界シェア1位※、全国の大学と短期大学を含めた99校で全学に導入され、81万人以上の学生が「 manaba 」を利用しています。その「 manaba 」が出席管理機能に音波通信を採用したのにはどのような背景があったのでしょうか。
※教育 DX/ICT ソリューション 市場総調査 2023 株式会社富士キメラ総研調べ

田尻さん(以下、敬称略) 2020年から文科省の指針の下、給付型の奨学金の拡充や入学金・授業料の免除などで学生を支援する「高等教育の修学支援新制度」において大学側は正確な「出席管理」を求められるようになり、大学経営としては、学生の出席を正しく把握し管理する仕組みが必要になったんです。

小松さん(以下、敬称略) また大学側は代返についても問題視しているので、代返が防止でききちんと授業を受けている人がわかるシステムというのも作る必要がありました。

─ わかりやすく言うと大学側は「代返」など出席に関する不正をなくす必要がある、ということでしょうか。 

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小松さん(以下、敬称略) はい、そうですね。そういった大学側のニーズに「 manaba 」が応えるのはもちろんですが、利用する学生たちにとっても簡単で使いやすいことも重要だと考えました。

─「 manaba 」の「出席管理」機能が必要とした条件は3つでしたね。

1.    代返防止
2.    開発期間や費用の面から、機材に依存しないこと
3.    ユーザビリティを考えたとき学生のスマホで操作ができること

田尻 出席管理サービスを提供している企業を10社ほどラインナップしましたが、この3つの条件を満たす企業を見つけるのは簡単なことではありませんでした。大学での出席機能といえば、ICカード・Bluetooth・スマートフォンでのGPSが主流になります。たとえば、ICカードだと対応端末を用意する必要があり教室の入出時にかざすことで出席ができるようになりますが、扉の前でタッチして授業にでないケースが発生します。1-3すべてを満たさないのでNG。

小松 Bluetoothも検討しましたね。でも、Bluetoothだと電波を送信するためのデバイスが必要になるのに加え、教室の外でも出席操作ができることから条件の1と2が満たさないのでNG、などなかなか見つからなかったんです。

田尻 そんな時に音通信を見つけて「コレだ!」となりました。

ポイント

  • 通信とは、音波を利用して行う通信のこと
  • 特別なデバイスは不要。音が送受信できるPCやスマホで対応可能



出席管理10分から10秒に!スピーディな出席確認を可能にする音波通信の強み

─ 開発とテスト期間は約5ヶ月、コロナ禍で当初予定していた開発のスタートは遅れたにも関わらず、予定通り2022年4月からサービスを開始しました。

小松 はい、音波通信の場合、教室に設置する機材等が不要で大学の環境に依存しないので、開発期間が想像以上に短くて助かりました。

─ 実際に利用している大学や学生さんからはどのような声があがっているのでしょうか。

田尻 まずアプリの感度がすごくよいと評判です。先生のPCから"聞こえない音(音波)"を出すのですが、学生たちは専用のアプリを立ち上げるだけ。ものの数秒で学生たちのスマホが音波を受信して出席確認が完了するそうです。先生方の操作はご自身のPCから音波を出すのみ。時短にもつながりますし、授業進行の邪魔にならないという声をいただいています。

小松 "音"って人によって快/不快が分かれると思うのですが、"聴こえない音"という点がバリアフリーで良いですよね。

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先生のPCから直接「聞こえない音」を発信。特別なデバイスを使わずに教室の隅々までデータを届けることができる。

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─ 例えば500人規模の大きな教室でも問題なく音波が届いて出席管理ができているのでしょうか。

田尻 全く問題ありません。広い教室はもちろん、天井の高さが10mほどある教室や、教室内に太い柱がある教室など、どんな環境でもスムーズに操作ができています。

小松 大学には携帯の電波やWi-Fiが届かない教室も稀にあります。今回は開発期間が短く間に合いませんでしたが音波通信とアプリケーションの特性を生かし、オフライン環境でも利用できるようにアップデートも出来たらと考えています。

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田尻 今でも紙の出席カードを提出させるといったアナログな出席確認をしている大学も多いです。それだと出席確認だけで長い時は10分を要する場合もあります。でも、音波通信だと早ければ10秒で出席確認が済むので、この差は大きいです。

小松 先生や学生にとっては、早くて簡単に操作ができる。経営する大学側にとっては、正しくデータを取れる。それぞれに適したメリットがあると思います。

ポイント

  • "聴こえない音"で通信する
  • スマホがデータ通信できる状態なら、Wi-Fiがない場所でも使える
  • 面倒な認証は一切不要。音波を送受信するだけ



成功率100%!代返は不可能をデモで検証済み

─ 代返に関してはどうでしょうか。本当に代返防止に役立っているのでしょうか。

田尻 はい。先ほどお伝えした通り、教室内での音波の送受信はスムーズにも関わらず、扉を閉めた途端、扉の向こう側では音波を受信できないんです!代返は不可能だと思います。

─ 様々な大学でデモやトライアルを実施されていると思いますが、成功率はいかがでしょうか。

田尻 成功率は100%です!扉内では100%音波通信ができ、扉の向こうには音波は届いていません。

─ それはスゴいですね!
─ 小松さん、田尻さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

ポイント

  • 大教室や、柱などの障害物がある教室でも、問題なく音波が届く
  • 壁やドアを乗り越えた通信は成立しないので不正を防げる

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Smart Sound Lab
(スマートサウンドラボ)

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所長:安田 寛 Hiroshi Yasuda

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