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Smart Sound Lab 所長 安田 寛 : Hiroshi Yasuda

メンバーの多くが現役の技術開発者であるSmart sound labでは、近接通信にかかわるさまざまな話題を、ビジネスの観点だけでなく「技術そのものの面白さ」にも着目しながら紹介していきたいと考えています。本記事では、SSL安田所長の、開発者としてのバックグラウンドを紹介します。

若きエンジニア、ゼロから挑戦できる場所を求めて

現在、株式会社SST常務取締役技術本部長であり、Smart Sound Lab所長を務める安田は、北海道大学工学部で電子工学を学び、修士課程を修了した1989年に株式会社ビー・ユー・ジー(以下、ビー・ユー・ジー)に入社する。ビー・ユー・ジーは、まだ"ベンチャー"という概念のない1980年に、当時北海道大学院修士課程2年生だった4人が設立した会社である。創業から間もなく『町のコンピューター屋』から、総合的な技術力をもつシステムハウスへと成長する。安田自身も「独立系でなんでも挑戦できる会社を探していたらビー・ユー・ジーだった」と入社当時を振り返る。

世界初のパソコン用ハイビジョンビデオカード開発者の誕生

1990年に始まったMacintosh用のビデオカード市場は、当時米国の企業3社が独占していたが、ここにビー・ユー・ジーが入り込む。米国の輸入製品に対して、"made in JAPAN"を強調し対抗したのだ。このフルカラーのグラフィックボード『Pickles24A』を開発したのが他でもない安田である。当時Macintoshの雑誌ではグラフィックカードのベンチマーク合戦が繰広げられており世界最速のビデオカードが日本製という事で話題になった。その後ハイビジョンビデオカード『PicklesHV』の開発にも成功。当時、世界でパソコン用のハイビジョンビデオカードを開発しているのはビー・ユー・ジーだけであり、安田はハイビジョンビデオカード開発のパイオニアといっても過言ではない。 その後も、Apple Macintosh用の世界初のデジタルビデオアクセラレータ『Desk Studio』の開発を行い、シリコンバレーの米国企業と共同製品として発売。DeskStudioはMacintoshの規格に合わせるようにバージョンアップを繰り返し、1995年にはMacintosh AVシリーズ用の「DeskStudio Pro」、1996年にPCI Power Macintosh用の「DeskStudio-DR」、放送用の信号に合わせた画像入出力ボード「DeskStudio-UV422」へと続いた。

"エコ開発の魔術師" 未来への挑戦

安田はこれまで、高スペックでありながら高額すぎないハードウェアで、かつ商用に合わせた商品を作りユーザーの利便性を追求してきた。いうならば"エコ開発の魔術師"である。現在においては、SSTの主力製品の一つである非接触ICカードリーダーライター『ピットタッチ』を製品化。また、独自の音通信を考案し製品化を実現したのも安田率いる開発チームである。ピットタッチシリーズの開発秘話をたずねると、「私たちの仕事はユーザーの利便性をあげること。それを真摯に探求していたら、たまたまその解が『音』だった」と安田は謙虚に語る。現在も、音通信技術基盤SST PFの開発責任者として『音で世界を変えるべく』、研究と開発に勤しんでいる。

略歴:

1987年03月 北海道大学工学部電子工学科卒業
1989年03月 北海道大学大学院工学研究科電子工学専攻修了
1989年04月 株式会社ビー・ユー・ジー入社
2008年12月 執行役員製品開発本部長
2015年04月 株式会社ビー・ユー・ジーSST(現株式会社SST)入社
テクニカルセンター長就任
2015年06月 同社取締役 技術本部長就任
2017年06月 同社常務取締役 技術本部長就任

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Smart Sound Lab
(スマートサウンドラボ)

URL: https://smartsoundlab.com
所長:安田 寛 Hiroshi Yasuda

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