経済産業省が発表した『キャッシュレスの現状と推進』によると、日本のキャッシュレスの割合は2016年時点で20%と、年々増加傾向にあります。しかし、日本銀行の調査レポート「モバイル決済の現状と課題」(2017年6月)によると、そのうちスマートフォンにおける決済の利用率はわずか6%。
国民の7割が1台以上を保持し、いまや生活には欠かせないスマートフォンは。決済の分野でも様々な企業がサービスを提供し、キャッシュレス市場に参画しはじめています。そこで、より快適なスマートフォンライフを創造するために研究調査しているスマートサウンドラボ(以下、SSL)では、スマートフォン決済のインフラが比較的整っていると思われる北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人にスマートフォンを活用した決済について調査を実施しました。
調査の結果、25.7%の人が「現在、スマホ決済を利用している」、13.6%が「かつて、していた」と回答し、残りの約60%がこれまでスマホ決済を利用したことがないと回答しました。主要都市部においても、4人に1人しかスマホ決済を利用していないことがわかりました。調査の結果からは、スマホ決済サービスの課題や可能性がみえてきました。
キャッシュレスの壁
スマートフォンを活用した決済サービスを日常的に活用している人を年代別に見てみると、利用率が一番高いのが30歳〜34歳であり、年代が上がるにつれて利用率は下がっています。また、40代のスマホ決済利用率が特に低いことがわかります。想定される理由は、40代はクレジットカードや交通系ICカード、または現金での支払いがすでに定着していること。また、20歳〜24歳の「かつて、していた」と回答した46.2%をはじめ、過去に経験したことのある層を、もう一度スマホ決済市場に引き戻すと同時に、スマホ決済未経験者に利用を促進するには、スマホ決済のインフラを"利用者が利用せざるを得ない"環境に、インフラを整備する必要があります。SSL所長の安田は、「スマホ決済普及には手数料の壁が立ちはだかっている。ここを解決しなくては、事業者はインフラ整備ができず、ユーザー側の不便は解消されない」と断言しています。
3年後に期待
一方で数年後にスマホ決済利用者が急激に増えるという見方もあります。
内閣府が2017年3月に発表した『消費者動向調査データ』によると「スマートフォンの買い替えサイクル」は平均4.4年と試算が出ています。日本人のスマートフォン保持者のうち7割がApple社のiPhoneです。スマホ決済サービス Apple Payを搭載したiPhoneは2016年9月に発売されたばかり。つまり今、iPhone6以前の機種を使っているユーザーが新しい機種に買い替えた際、スマホ決済を利用し始めるとも言えるのです。現在は、環境や端末によって「使いたくても使えない」という状況が生まれているのも事実です。2016年から4年後の2020年にユーザー側の端末による壁がなくなった時に、事業者側がインフラを整備できたなら、キャッシュレスは急速に普及するかもしれません。
参考資料:日本銀行「モバイルル決済の現状と課題」
http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb170620a.pdf
経済産業省の『キャッシュレスの現状と推進』
http://www.soumu.go.jp/main_content/000506129.pdf
まとめ
- 主要都市部ですらスマホ決済を利用したことがある人は4人に1人
- スマホ決済が普及しない理由にデバイスの制限がある。スマートフォン買い替えサイクルからみて、2年後に普及の波がやってくる可能性あり
- スマホ決済サービスを普及させるには、クレジットカードや交通系ICカード以上のメリットをユーザーに提示する必要があると同時に、スマホ決済のインフラ整備が必要不可欠である
- 事業者側のインフラ整備の前に手数料という大きな壁が存在する
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【スマートフォンによる決済サービス利用者の実態把握調査】
調査主体:Smart Sound Lab
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象: 北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人
調査時期:2018年5月
※ 本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※ 百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。