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身の回りのデバイス間通信、それぞれ何が、どう違うのか?

世の中の様々なモノ・サービスがモバイル化する過程で、デバイス同士のやりとりの「ワイヤレス化」も同時に進んできました。

いまや人々の生活の中心になったといっても過言ではさそうなスマートフォンも、近年では充電すらワイヤレス化。ケーブルを使うということ自体が稀になりつつあります。

そんなワイヤレスな暮らしを支える、たくさんの無線通信技術。いまやちょっと懐かしい感のある赤外線通信にはじまり、WiFi、Bluetooth、Felica、QRコード、音通信など・・それぞれ技術的に違った特色を持っていますが、みなさんはどのくらいそれらの違いを認識しているでしょうか?それぞれの技術が、どう動き、何が得意なのか?スマートサウンドラボが、まとめてみました。

古いけど、しぶとい。赤外線通信

「赤外線通信」と聞いて何を想起するかは、もしかしたら世代によって違うかもしれません。赤外線を使った一般的な無線技術というと、2種類がイメージできるのではないでしょうか。

一つ目は、テレビやエアコンのリモコンに使われるほうの赤外線通信です。1970年代末くらいから一般化し始めた技術で、いまだ現役ですね。通信とはいえ双方向でデータのやりとりをするのではなく、「送り側(リモコン)」「受け側(テレビなど)」に分かれて使われるケースがほとんどです。

もう一つは、IrDAという規格にのっとった赤外線通信技術です。スマートフォンが登場する前、2000年代の携帯電話には必ずと言っていいほどこの機能が搭載されていて、私たちがこんにちイメージする「データのやり取り」が可能でした。しかし、2008年に登場したiPhoneにこの赤外線通信機能は搭載されず、現在、スマートフォンで使われることはあまりなくなっています。

特徴:リモコンのほうの赤外線もIrDA規格による赤外線も、同じ「光」を使った通信です。波長が長く人間の目には見えませんが、可視光線同様にとても指向性が強くなります。また、後述する電波を使った通信と比べると、通信の混線が起きにくいのも特徴です。IrDAの赤外線通信のデータ転送速度は4Mbpsほど。リモコンで使われている赤外線通信ですと、一度に送信でいきるデータはほんの「数ビット」になります。

弱点:光を使っているため非常に指向性が強いため、通信するデバイス同士がそれなりに向き合っている必要があります。
また間に障害物があると、光は電波のように回り込んでくれませんので、うまく通信ができません。
また、リコモンのほうは数メートルの距離で使えますが、IrDAは数センチ〜1メートルくらいの、ごく短距離でしか使えません。

用途:IrDAのほうの赤外線通信機能は現在あまり見かけなくなっています。むしろ、リモコンの赤外線通信のほうがしぶとく生き残っている・・という感じではないでしょうか。古く、シンプルな技術ゆえに意外と廃れなかった、ということですね。

インターネットといえば、のWiFi

「無線LAN」と同義と捉えている人も多い、いまやインターネット接続には欠かせない無線通信技術。じつは、もともとはオーストラリアの科学者がブラックホールの研究をするための様々な工夫の中から副産物的に生み出されたという歴史があります。

WiFiは、「無線LAN」技術のうちの1つです。これは後述するBluetoothも同じです。インターネット通信に使われるとおり、大容量データのやりとりが可能で、バージョンを重ねるごとに通信速度が上がっています。

特徴:2.4GHz帯と5GHz帯、どちらかの帯域の電波を使った通信です。6.9Gbpsという、他の通信技術とはケタ違いの大容量通信が可能です。また電波の伝達性もよく、障害物がなければ100メートルくらいの距離でも通信が可能。またいちどにたくさんの機器を接続することにも長けています。

弱点:WiFiのチップは現状、ほかの無線通信技術に比べると消費電力が多いので、モバイル機器などのデバイスの場合は、バッテリーの消費に注意が必要です。

用途:もともとはパソコンのネットワーク接続に使われていましたが、現在ではスマートフォンやデジタルカメラなどにも標準搭載され、大容量データのやり取りに使われています。

多くのケーブル接続を代替。Bluetooth

WiFi同様に「無線LAN」の規格のひとつである、電波通信技術です。

特徴:WiFiと比べると通信速度が遅く、また通信できる距離も2センチ〜10メートル程度までと狭くなっています。その代わり通信のためのチップが省電力化されており、スマートフォンなど、バッテリー駆動するデバイスで使うのに非常に便利な規格となっています。WiFiも使っている2.4GHz帯の電波を使います。Bluetooth Low Energy(BLE)という、より消費電力のすくないバージョンもあり、これはAppleの商標であるiBeaconと同じものです。
iBeaconでは通信範囲(距離)を「2センチ」「1メートル」「10メートル」の3段階で設定できます。

弱点:2.4GHz帯というのはWiFiの他にも電子レンジ、アマチュア無線、ワイヤレスマイク、ICタグなど様々なモノの通信に使われているため、電波の混雑が起こっています。BluetoothはWiFiほどのパワーがないこともあり、接続が不安定になってしまう場合があります。

用途:さほど大きくないデータを扱う、ほとんどのモバイル機器・・・マウスやキーボド、イヤホン、スピーカーなど頭に「ワイヤレス」とつけられるものはほとんどBluetoothが活躍しています。iPhoneからイヤホン端子がなくなったことも、利用者増につながったのではないでしょうか。

日本で「タッチ」といえばこれ。FeliCa

日本では、おサイフケータイや駅の改札でおなじみのFeliCa。これはNFC、Near Field Communication = 近接無線通信の国際規格にの中の、ひとつのバージョンです。13.56MHz帯の電波を使います。国際的にはNFC Type AやType Bという別のバージョンが主流ですが、日本ではソニーが NFCの「Type F」を独自にチューニングしたFeliCaのほうが圧倒的に多く使われています。FeliCaの通信速度は847kbps。これは同じNFC技術でも、Type A/Bにくらべて倍あります。日本での駅改札にFeliCaが採用されているのは、このスピードも大きな要因です。

特徴:NFCおよびFeliCaは、データ通信のほかに「認証」のための通信使用可能で、駅の改札や、おサイフケータイではこの認証通信が使われています。通信距離は10センチ以下のごく狭い範囲です。

弱点:NFCの異なるバージョン同士の互換性はあまり良くありません。そのため、モバイルデバイスにどのタイプのNFCを搭載するか?によって、デバイス同士の通信ができたりできなかったりするリスクがあります。スマートフォンの機種によって通信ができない、新製品と旧製品でのやりとりができない、といった問題が生じやすいのです。
iPhoneが、Apple Pay機能でFeliCaが使えるようになったニュースは、日本以外であまり使われていない規格が採用されたという意味で話題になりましたよね。

用途:前述したとおり、何と言っても鉄道駅の自動改札、そしておサイフケータイなどのキャッシュレス決済で使われています。

その手軽さで中国キャッシュレス決済のスタンダードに。QRコード

日本でよく聞かれる、「キャッシュレス先進国としての中国」がその決済通信手段として主に採用しているのがこのQRコードによる通信です。2次元バーコードとも言われます。1次元のバーコードは赤外線を使ったリーダーで読み取りをすることが多いですが、QRコードの場合は、スマートフォンのカメラを使って撮影、画像解析からデータを読み取るという形式のものが多くなっています。なので媒体となるのは「光」、または「カメラ」と言っても良いかもしれません。

特徴:データをQRコードという「画像」にして発信するため、データの送り手側は「紙」でもよく、機器である必要がありません。自分の振込先口座情報をいちど紙に印刷してしまえば、なんの追加機器もなしにキヤッシュレス決済に対応できる、という導入ハードルの低さが中国でのキャッシュレス決済のための通信手段としてスタンダード化した理由でしょう。
また、「画面とカメラ」という現在のスマートフォンなら絶対に搭載されたパーツだけで動作するため、機種の壁に阻まれるということが起きません。基本的には数十センチの近距離通信で使われますが、読み取るQRコードが物理的に巨大であれば、より離れた場所からでもデータを取得できます。

弱点:カメラをかざして映像をとらえる、という作業に多少の面倒があり、 FeliCaを使った決済と比べると一連の動作にもたつきがちで、時間がかかります。また認証機能はないので、QRコードそのものを改ざんされてしまうと、間違ったデータを受け取ってしまうというリスクもあります。また、双方向の通信には実質、使用できません。

用途:もともとは、倉庫での在庫管理などを目的としてバーコードを二次元化したという技術ですが、今ではスマートフォンでの小さなデータ送受信に広く使われています。SNSアカウントの情報やURLのやりとり、前述したキャッシュレス決済などで活躍しています。ポスターなどの印刷物からURLなどを取得する際にも便利です。

新たなスタンダードとなるか??音通信

データを、電波ではなく音波に乗せて通信をする技術です。音によるデータ通信という発想自体は古くからありましたが、周辺のノイズに負けない安定性や通信スピードという課題を、近年のチップ技術が向上したことにより克服され、今、注目されています。

特徴:まず、デバイスとしては音を出すスピーカーと、それを拾うマイクがあれば良いので、FeliCaを含むNFCのように、機種の壁に阻まれることがなくあらゆる機器どうしでの通信が可能な点はQRコードと似ています。
また、QRコードに比べると、メディアが音なのでデータの改ざんが起こりにくいのも特徴です。通信に使う音は、人に聴こえる帯域のものと、人には聞こえない高い帯域のものと、どちらも利用可能です。スピーカーの出力=「音量」次第で、数センチから数十メートルまで通信が可能です。

弱点:環境ノイズが大きすぎる環境下では、データがうまくやりとりできない可能性があります。

用途:あらゆる機種のスマートフォン同士で写真や連絡先を交換するなど、機種の壁をこえたデータのやりとりに便利です。インターネットに接続できない環境でも複数のデバイスにデータを送ることができるため、コンサート会場などでのプッシュ通知などに使われています。認証のためにも使用可能なので、無人店舗でのチェックインや、キャッシュレス決済のインターフェースとしても活用可能です。

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図1:たとえば音通信では、店舗内のさまざまな場所にいる人にそれぞれ最適なデータを送ったり、チェックインのためのシグナルを送ることができる

いかがでしたか?同じ「通信」とはいえ、単純なスイッチ的なものから認証、常時接続のインターネットなど様々に異なる通信がこれらの規格によって支えられていることがわかりますね。ますます多様化するモバイルデバイスを使ったソリューションに、これらの技術がどう生かされるのか?今後も注目していきたいと思います。

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所長:安田 寛 Hiroshi Yasuda

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