2019年10月からの消費税の増税で消費が落ち込むことを避けたい政府は、キャシュレス決済の消費に対しポイント還元策を打ち出しました。ここ数年で新規参入が相次ぐスマホ決済サービス市場では、様々なキャンペーンや戦略で国内のキャッシュレス化を後押ししています。そこで、より快適なスマートフォンライフを創造するために研究・調査しているスマートサウンドラボ(以下、SSL)は、日常的にスマートフォンで決済をしている全国の10代〜60代の男女200人を対象に調査を実施しました。
1位は交通系、2位はEdy、3位は楽天ペイ。Apple Pay、Line Payを抑えての4位は?
「あなたは以下のスマートフォンで決済できるサービス(アプリ)を利用していますか?あてはまるものをそれぞれお答えくださいとの問いに対し、「現在、利用している」と一番多く回答されたのは、Suicaなどの交通系のサービス(アプリ)で38.8%でした。2位以下はEdyの31.6%、楽天ペイの28.2%と続きました。そして4位にランクインしたのは、PayPayで27.2%でした。2018年10月からの新サービスにも関わらず、Apple Payの23.8%とLine Payの20.9%を抑えての4位は大健闘です。
PayPayが4位にランクインした理由も調査で明らかになりました。「最近、スマートフォン決済サービス(アプリ)では、各サービス(アプリ)がその利用を促進するために決済手数料キャッシュバックや、総額100億円プレゼント!などの割引、プレゼントキャンペーンが実施されています。そのようなキャンペーンの際に、あなたはアプリを利用しましたか?また、キャンペーンが終わった後も、継続してスマートフォン決済サービス(アプリ)を利用していますか?その後は利用していませんか?以下、当てはまるものをそれぞれ教えてください。」とたずねたところ、「キャンペーンがあった際に利用を始めて現在も利用している」と回答した人は、PayPayが54.8%で他のサービスと比べると顕著に多かったのです。つまり、PayPayを利用している人の半数以上がPayPayのキャンペーンを機にサービスを利用していることがわかりました。
PayPayのキャンペーンから見えてくるスマホ決済戦国時代
PayPayのキャンペーンは、どのような点で成功したと言えるのでしょうか。SSL所長の安田は、「PayPayがキャンペーンによって得られたことは3つ。まず、サービスを認知されたこと。次に、アプリをインストールして初期設定してもらうこと。最後に、QRコード決済を体験してもらうことです。特に、ハードルの高いアプリのインストールと初期設定においては、20%還元上限5万円相当という高額のポイント付与で、そのハードルを一気に低くしたのだと思います」と話します。また、このPayPayのキャンペーンで現在のスマホ決済業界の構図がよくわかると安田は分析します。「PayPayは100億円キャンペーン第二弾を打ち出しましたが、これは上限1000円で使用する頻度を上げてもらい、アクティブユーザーを増やすことが目的でしょう。しかし、ユーザーを増やすためにはPayPayを使用できる加盟店を増やす必要があり、加盟店を増やすためには手数料を抑える加盟店向けのキャンペーンを打つ必要もあります。つまり、競業との陣地取り合戦の様相を呈しています。
今後、国主導のキャッシュレス決済の開始が近づき、消費税での割引や還元が始まるとますます競争が激しくなることが予想されます。ユーザーが数あるサービスから利用するサービスを選ぶ際、ポイントやキャンペーンの還元率に依存することがしばらく続くでしょう。各社によるキャンペーン合戦の先に「キャッシュレス決済」=「利便性の高い決済」として定着するか、今後もスマホ決済業界から目が離せません。
まとめ
- 使っている決済アプリ、1位交通系アプリ、2位Edy、3位楽天ペイという結果になった。
- 4位はキャンペーンが成功したPayPayがランクインした。
- ユーザーは、ポイント還元率によって利用するサービスを選択することを余儀なくされることが今後も続くだろう。
SMART SOUND LAB記事の引用について
SMART SOUND LABの記事の引用については自由ですが、出展元としてかならずSMART SOUND LABを明記していただくようお願いします。また、ウェブ媒体、メールマガジンなどでの引用の際は、SMART SOUND LABトップページ(https://smartsoundlab.com/)へのリンクか、引用記事へのリンクをお願いします。
【スマートフォンによる決済サービス利用者の実態把握調査】
調査主体:SMART SOUND LAB
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:日本全国の10代〜60代の男女200人
調査時期:2019年1月
※ 本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※ 百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。