こんにちは、SSLの吉野です。
ここのところ、キャッシュレス決済に関わるニュースを見聞きすることが非常に多くなりましたね。
さまざまなサービス業者が、自社の決済サービスを普及させるため大胆なプロモーションを仕掛けてはしのぎを削っています。
また、中国などの「キャッシュレス先進国」では、現金を持ち歩くことは稀で、スマホさえあれば買い物はできる、お財布はもういらない・・・といった話も聞こえてきます。
キャッシュレスが進むと、お財布がいらなくなる・・・
でも、いまみなさんのお財布に入っているのは現金だけではないはず。そう、身分証やポイントカード、スタンプカードです。
身分証は、これからはスマホケースや名刺入れに引っ越しということになるのかもしれません。
が、多くの人のお財布を膨らませているポイントカードやスタンプカード(以後、まとめて"ポイントカード"とします)たちは、これからどうなるのでしょうか?
そこで、今回は日本におけるポイントカードについて考えてみたいと思います。
ポイントカードの歴史と普及
日本ではじめて買い物に「ポイント/スタンプ制」が導入されたのはあまり定かではないようですが、北九州の呉服屋にて1916年に始まったという説があるようです。その後、1958年にグリーンスタンプが誕生、つづいてベルマークなども普及しました。80年代には、初のバーコードを用いた、現在のポイントカードのイメージと同じものがヨドバシカメラからリリースされています。
日本のお店やサービスにどのくらいポイントカードが導入されているのか?という統計は見つけられなかったのですが、スーパーマーケットでは、8割以上のチェーンがポイントカードを導入しているようです。また、消費者の側では、何らかのポイントカードをもち、貯めているという人が実に9割以上。ほぼ「どこのお店にもポイントカードがあり、誰もがポイントカードを持っている」という状態といってよさそうです。
基本的に譲渡ができない、多くの場合有効期限が定められている、といった点はありますが、モノとの交換ができる、貯められる、値引きの原資になるという意味では仮想通貨とも近い特徴を持つポイント制度。細かい仕切りはありますが、日本における「第二の通貨」なのかもしれません。
ポイントカードの発行は、お店の販促にとって本当に有効?
ここまで全方位的にポイントカード制度が普及している現状で、ポイントカードがあるからといって消費者の行動は変わるのでしょうか?
野村総研の調査によれば、「YES」が答えになりそうです。
2015年時点で、ポイントカードの存在によって、モノやサービスを購入する店舗選びに影響が出ると答えた消費者は、およそ6割。しかも、この数字はここ数年では増加傾向にあるようです。
ただ、ここ数年で、Tポイントカードや楽天ポイントカードなどのように、複数の企業/店舗にまたがってポイントが貯められ使える共通ポイントサービスが成長しています。この場合、参加しているお店にとっては「自分のところで貯めたのではないポイントを使いに来客がある」というメリットと「自分のところで貯めたポイントが別の店で使われてしまい来客がない」というデメリットが生じます。参加店舗にとってこれが吉と出るか凶と出るかは、まだ未知数のようです。ともかく、ポイントカードがなくなることは、これだけの有効性がある限り、まだなさそうです。
また消費者ひとりあたりが持ち歩くポイントカードは、平均で6.5枚。共通ポイントサービスのカードを2,3枚持っているとすると、個別店舗(企業)でのポイントカードが確保できるイスは、3~5枚くらいということになります。お財布のなかでの「生き残り」は熾烈です。
そんな中、キャッシュレス化の流れと連動するように、ポイントカードも「デジタル化」。スマホアプリに形を変えるなどして「お財布レス」の時代に対応していっているようにも見えますが・・・デジタル化によって、ポイントカードの世界はどう変わっていくのでしょうか?
引き続き、注目していきたいと思います。