米調査会社Strategy Analyticsは、2018年1月〜3月におけるスマートスピーカーの世界出荷台数は940万台を突破したと発表しました。成長スピードは1年前の約4倍と、驚異のスピードで成長を遂げていることがわかります。日本ではまだまだ馴染みが薄いスマートスピーカーですが、市場調査会社の富士経済が公表した予測では、日本国内のスマートスピーカーの市場は2025年度に、2017年度見込み比9.2倍の165億円になると発表しています。
いつのまにか世界は、デバイスが持つ"耳"を活用した「音」の新時代に突入しているのです。
スマートスピーカーの普及だけ見ると、世界から遅れをとっている日本ですが、スマートフォンの「音声アシスタント」なら使っているという人は多いと思います。そこで、より快適なスマートフォンライフを創造するために研究調査しているスマートサウンドラボ(以下、SSL)では、スマートフォンの音声アシスタントの利用について北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人に実態調査をおこないました。
音声アシスタントの利用率は43%
北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人に、スマートフォンの音声アシスタントSiriまたはGoogleアシスタントを利用したことがあるかの問いに対し、どちらか一方、または両方を利用したことがあると回答したのは全体の42.7%という結果に。
Siri、Googleアシスタント別に結果を見て見ましょう。
総務省の平成29年版『情報通信白書』によると、スマートフォンの世帯普及率は71.2%であり、日本はiPhoneシェア率が約70%という独特の国なので、Siri利用者がGoogleアシスタント利用者より高いという結果は予想通りの結果に。そこで、音声アシスタント利用者に、音声アシスタントを日常的に利用しているか調査をしたところ、日常的に使用していると回答したのが、Siriで18%、Googleアシスタントで21.3%というGoogleアシスタントがSiriを追い抜く結果になったのです。
さらに注目してほしいのは「最初は利用したが、だんだん使わなくなった」の結果です。Googleアシスタントは14%にとどまったのに対し、Siriは20%と定着率もGoogleアシスタントに軍配が上がったのです。
性能や機能に大きな差はない中で、なぜこのような結果がでたのでしょう。
その理由は、利用目的を調査して明らかになりました。
「検索のGoogle」に軍配
音声アシスタント利用者に、「どんなときに音声アシスタントを利用しているか」について調査したところ、Siriの利用者は「検索・調べもの」が一番多かったのですが、「暇つぶし」が2位にランクイン、それ以下も「タイマー」「天気」など全体を見ても、用途にばらつきがあることがわかります。対してGoogleアシスタント利用者は「検索・調べもの」が圧倒的に多い。この結果から、「検索といえばGoogle」という企業イメージがユーザーに定着・浸透していることで、音声アシスタントの利用目的が明確だったことや、定着度に差が出たことが考えられます。米国におけるスマートスピーカー市場においても、シェア1位のAmazon Echoを2位のGoogle Homeが猛追しています。
「音」というインターフェースの波は確実に浸透しつつあります。
こういった現象についてSST所長の安田は「マイクとスピーカーは唯一残されたライセンスフリーのレガシー」とさらに音の新時代を強調します。「これにAIといった新しい技術が加わることで、ユーザーの生活はもっと便利になりうるがまだ課題もある」と言います。
SSLでは、google Home、SONY スマートスピーカーLF-S50G W、LINE Clova WAVE、Amazon Echo Dotを購入し、スマートスピーカーを実際に利用しその実態を調査しました。天気、タイマーセット、検索、メッセージの送信、音楽の再生など、音声認識に関してはどのスマートスピーカーも高性能であることは間違いありません。しかし、音声コマンドの制御だけでは、スマートスピーカーが日常生活に浸透することは難しいと安田は話します。「普及させるには、スマートスピーカーと会話が成立し、その中から情報や楽しみが得られる機能が必須」とAIの進歩に期待を寄せます。
まとめ
- 音声アシスタントを利用している人は全体の42.7%に及んだ
- 利用率こそSiriの方が高かったが、日常的に利用している割合と定着度はGoogleアシスタントの方が高かった
- 「音」のインターフェースが主流になりつつある
- スマートスピーカーが日常的に浸透するには、AIの進歩がカギ
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【スマートフォンの音声アシスタント実態把握調査】
調査主体:Smart Sound Lab
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象: 北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人
調査時期:2018年5月
※ 本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※ 百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。