こんにちは、SSLの吉野@ガラケーP-01G、です。
「あ、どこにいってたんですか吉野さん、探していましたよ!」
非接触FeliCa対応ICカードリーダーライターを販売して早12年、今やスマートフォンの普及率が72%になり、全機種テスト、開発検証以外でガラケーユーザーとお会いするのは田舎に帰った時か、親と会う時か・・かなりの絶滅危惧種となってきました。
ということで、ガラケー持ちの私、最近時々人気者です。動作検証の時に。
ガラケーとは、一般的には、「ガラパゴス携帯電話」、正式には、「フィーチャーフォン」のことを言います。
他の島との接触がなかったために独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の生物になぞらえ、日本独自の進化を遂げた携帯電話を「ガラパゴス携帯電話」と呼びます。
ボタン操作なので視覚的にわかりやすく、折り畳み式のタイプが多く、コンパクトにポケットに入れて使えることから、文字通り、いつも携帯する電話機として、普及拡大しました。
また、ガラケーは、幾つかのfeatureを搭載した多機能携帯電話であり、代表的な機能として、ワンセグや、FeliCaを携帯電話に組み込んだおサイフケータイがあげられます。
「3者間通信」機能と販促サービス
ガラケーの普及に伴い、2004年から様々なFeliCaサービスのインフラが提供されるようになります。代表的な事例として、JR東日本のSuica等「交通系IC」、コンビニやスーパーマーケットでの「流通系電子マネー」、新たなマーケティング手段としての「電子クーポン」、がありますね。
さらに、おサイフケータイに標準実装されたモバイルFeliCaが持つ近接通信機能「3者間通信」機能を使って、リーダーライターからURL情報などをおサイフケータイに送信し、そこからのサイト誘導でクーポンや店舗情報などを取得するQR的なサービスが提供されるようになりました。
「3者間通信」機能とは、FeliCaリーダーライターから信号を携帯電話内のFeliCaチップに送り、それをトリガーに携帯電話内のアプリケーションを実行する機能のことです。なお、「3者間通信」機能の3者とは、店頭などに設置されている「FeliCaリーダーライター」と「FeliCaチップ」「携帯電話」の3者間で通信を行う機能のことを言います。アプリのダウンロードや設定などが不要で、店頭に設置されたリーダーライターに携帯電話を翳すだけで、ブラウザ起動(auケータイクーポン)し、場所/時間/誰が、を判別することで、来店情報をもとにした販促サービスの提供が可能となります。
来店回数や特定商品の購入回数に応じて特典を用意するキャンペーンや、再来店促進のために、来店n日後のタイミングでお得なメッセージを送付したり、といった、お店にあった効果的な販促活動が、お客様の携帯電話を利用することで簡単に実現ができることが魅力です。SSTでも、独自暗号化によるワンタイムURLを生成可能な、FeliCa対応ICカードリーダーライターを提供し続けています。
ガラケーから多様化するスマートフォンへ
さて、2007年にAppleがiPhone、2008年にはGoogleがスマートフォンOS Androidを発表し、その後、相次いで国内各社がスマートフォンを生産するようになりました。
スマートフォンの出荷台数は、2011年にガラケーを超え、特に日本では、iPhoneのシェアが大きく、FeliCaを搭載していないiPhoneやAndroidスマートフォンと、買い替え前のガラケーが、市場の中で共存する期間が続くことになります。
2014年からiPhone6においてNFCが搭載されましたが、電子決済サービス「ApplePay」用として搭載されたものであり、日本ではサポートされず、実質非搭載と同じレベルでした。
iPhone7から日本でもSuicaなどの一部のFeliCa決済とApplePayが利用可能となりましたが、その他のNFCの機能は解放されませんでした。
また、2017年4月に、おサイフケータイの機能の一部である「FeliCa Push機能」に関するFeliCaリーダーライター・アプリ等向け仕様書の情報公開がフェリカネットワークス株式会社にて終了し、「3者間通信」機能は、2017年度冬モデル以降、新しいバージョンのOSアップデート以降の適用機種において、一部利用ができなくなりました。
最近では、2015年5月、SIMロック解除原則義務化がスタートし、キャリアを選ばない、SIMフリーの格安スマートフォンの利用が増えてきています。
インフラの変化により、個別機能に依存しない共通の、「3者間通信」機能のブラウザ起動の代わりになるソリューションが必要となってきたのです。
ガラケー終焉と共に失われた利便性を、「音」で蘇らせる
そこで、2011年、SSTは、リーダーライターから出る音をスマートフォンアプリが聞き取り、WebサイトにワンタイムURLでアクセスできる「SSTouch技術」を開発リリースしました。これにより、「3者間通信」の代替として、FeliCaに依存することなく同じオペレーションで販促サービスの提供を可能としました。
- 音を利用した近接から中距離までの独自通信技術
- 2〜8KHz帯を使ったマルチチャネル変調方式によりアナログデジタル変換を行う
- 通信速度300bps(約16byte)のデータ通信を実現
- データの暗号化と排他制御機能を提供。
多様化するスマートフォンの利用環境に伴い、ほぼ全ての機種で共通な「音を聞く」機能は、これからもデバイス間の共通の懸け橋として使われていくことが可能と考えられます。
2018年9月13日、新型iPhoneの発表がありました。ガラケーの私には、サイズが大きすぎて、今回のタイミングでのiPhoneへの移行は早々にあきらめてしまいましたが、うちの所長は間違いなくもう予約して、首を長くして待っているでしょうね。
「音を聞く」検証は続きます。
ではまた。