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インドでのキャッシュレス決済ってどんな感じ?聞いてみた

日本で「キャッシュレス先進国」というと、ほとんどの人がイメージするのは「中国」なのではないでしょうか?
SSLでもこれまで、中国のキャシュレス事情についてはいくつかの記事を制作しました。
しかし、アジアでのキャッシュレス大国といえばもうひとつ・・「インド」があります。今回は、インドにおけるキャッシュレス決済について、本格的な調査ではないのですが、事情通の友人に簡単なヒアリングをしてみましたので、その内容をシェアしたいと思います。

現金流通の急激な減少がキャッシュレス決済を後押し

その前に、インドがキャッシュレス決済大国になった背景についておさらいしてみましょう。インドは、つい最近まで実は世界でも最も現金決済に依存した国のひとつでした。それが、わずか3年足らずでアジアNo.2のキャッシュレス大国に。実はこれは、国が高額紙幣の流通を突然、大幅に減らしたことがきっかけです。

2016年11月に、インド政府は500ルピー札と1000ルピー札の廃止を宣言。この2種類のお札は、インドで流通する現金のじつに86%を占めていたということですから、この政府の宣言がいかに極端なものかが想像できます。ほとんど「現金がなくなる!」という感覚だったのではないでしょうか。

こうした極端な政策をとった背景には、インドで横行している不正な資金のやりとり、ブラックマネーの排除が短期的な理由に挙げられています。長期的に見ても、つい近年まで身分証を持っていない国民が大半であったインドにおいて、この先13億を超える国民の情報を把握し、必要な福祉を提供し、また税の徴収を行うにはあらゆる情報をデジタル化する必要があるのでしょう。
というわけで、急激な現金不足という事情によって、キャッシュレス決済の普及が一気に後押しされた、というのがインドの事情です。

ということでヒアリングの内容をご紹介します。ヒアリングしたのは、友人の中国人青年R君。北京生まれですが、米スタンフォード大を卒業後、twitter, Uberで働き現在は自身のスタートアップを立ち上げたばかり。Uber在籍時にインドにおける支払い関係の業務についており、本人も8ヶ月ほどインド・バンガロールに住んだ経験があるとのこと。ヒアリングはテキストチャットで行いました。

Q. インドでのキャッシュレス決済、今はどんなプレイヤーがいる?

A. アリババやソフトバンクが出資するモバイル決済「Paytm」が圧倒的な状態だね。次に、インド政府が定めたデジタル決済規格「UPI」に準拠したサービスが各銀行からリリースされている。
ほかには、JioMoney、Ola Walletなどのサービスもあるけど・・・
とにかくPaytmの一人勝ち状態。利用シェアとしては体感で70~80%くらい。UPI準拠のサービスは、伸びているがそれでもいまのとこと5~10%くらい。
また、自分は外国人なのでクレジットカードを使っていたけれど、インドローカルではほとんど使われていないね。

Q. 日本ではLINE Payが最近頑張ってキャンペーンをしたりしているんだけど、インドで支配的なテキストチャットであるWhatsAppは、決済分野ではLINEのような存在感はない?

A. ほぼ何もしていない感じに見えるね。。
親会社であるfacebookのメッセンジャーには決済機能があるので、WhatsAppにまで必要ないと考えているのか、競合させたくないのかな? なんて思う。
とはいえfacebookメッセンジャーでの支払いサービスも盛り上がっているわけではないんだけどね。

Q. Google Payの立ち位置はどんなもの?

A. 個人的には、使っている人を見たことがないなあ・・・笑
Uberの決算手段としても使われていなかった。

Q. モバイル決済で使うインターフェースはどんなものがある?

A. QRコード、バーコード、支払い用のリンクあたり。
とはいえ、ユーザー側はこのへんの仕組みに興味を持っている人はいないね〜
「使えればいい!」っていう感じかな 笑

Q. キャッシュレス決済はどのくらい普及している?

A. かなり普及していると思う。日常の細々した買い物はもちろん、乗り物関係、公共料金の支払いなど相当広く使えるね。
とはいえ、現金もまだまだ現役。バランスとしては半々くらいの感じ・・・
低額決済に限れば現金が半分以上になるかもしれない。
あとは、貧しいコミュニティではまだ現金決済が圧倒的だから、そこが中国とは違うかもしれないね。

Q. QRコードのすり替えなどによる詐欺事件のニュースが中国でよく聞かれるけど、インドでは?

A. まだあまり聞かないけど・・・
これから同じような問題はきっと増えると思う。

いかがでしたか?
ありとあらゆる事業者がシェア争いでしのぎを削る日本の状況とは異なり、Paytmという1社が圧倒的な浸透をしている模様です。
日本の10倍以上の人口と多くの異なる民族を抱えていることや、特有の身分制など、日本とはかなり社会情勢が異なるインドですが、キャッシュレスによる決済のデジタル化のゆく先に待ち構えているのは、おそらく「グローバル化」でしょう。仮想通貨との接続がどうなるかという点も気になります。
まったく異なる背景からさまざまに発展したキャッシュレス決済が、将来どのように国境をまたいでゆくのか・・? SSLでは今後も、国外のキャシュレス決済事情について、チャンスを見つけ次第レポートしていきます。

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