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ついに「音」の時代がくる? 海外で音通信によるキャッシュレス決済の検討が本格化

2019年11月からの増税に伴い、キャッシュレスに関するニュースが連日報道されています。
現金主義だった日本も、国の政策や、〇〇Pay各社キャンペーンもあり、キャッシュレスが浸透しつつあります。

SSLが消費増税を間近に控えた9月初旬に実施した『10%増税でのキャッシュレス決済促進に関するアンケート調査』でも、日常的にキャッシュレスで支払いをしていると回答した人が90%を超えていることがわかりました。
https://smartsoundlab.com/2019/09/000060.html

また、最も使われるキャッシュレス決済ツールは増税前後共にクレジットカードだということもわかりました。
https://smartsoundlab.com/2019/09/000061.html

そのような中、クレジットカード大国アメリカから興味深いニュースをキャッチしました。

今年11月に発表された「世界最大の決済ネットワークを持つVISAがLISNRに出資」というニュースです。

2012年米国オハイオ州で創業したスタートアップの「LISNR(リスナー)」は、データを音声に載せて送る音声データ通信テクノロジーを開発。NFCやQRコードと置き換えることで、より便利で快適なソリューションを提供することを目指している企業です。
彼らのテクノロジーは、スピーカーから、Smart Toneと呼ばれるデータを音声波形化した(98%の人には聞こえない高い周波数で発せられる)通信プロトコルを活用し、スマートフォンなどのマイクを備えたデバイスへ送るというもの。受け手のデバイスはSmart Toneを音として受け取ってからデータに戻して処理します。
コンテンツは、メッセージ、画像、URLなど。また、デバイス同士の双方向通信を行なうことも可能です。

つまりこのニュースは「VISAの決済に音通信が利用される」という可能性を示しています。
モバイル決済において音声データ通信の安全性が確保されることに加え、チェックイン、BOPIS※、POSやEコマースといった様々なタッチポイントを一つの技術でカバーできる利便性の高さ。さらに、メッセージの送受信や個人認証などを同技術が可能にすることも大きなメリットになったと、出資の理由が述べられています。
BOPIS:Buy Online Pick-up In Storeの頭文字を取った略称
「ECサイトで購入した商品を、リアル店舗で受け取るショッピングスタイル」のこと

さらにLISNRは、全米に1800店舗以上を持つ米小売大手の「ターゲット」へも積極的にアプローチしています。
「ターゲット」とドイツの量販小売業者「メトロAG」が提携して世界的なスタートアップの参加を募った「メトロ・ターゲット・リテール・アクセラレーター」というプログラムに、全世界8社のうちの1社としてLISNRが選ばれたのです。
実は、今アメリカでは実店舗による小売企業のビジネスが、がネット通販アマゾンを超える伸び率を見せています。
2019年3月18日付のForbes JAPANの記事によると、『過去12カ月間の株価上昇率は、ウォルマートとターゲットがそれぞれ14.16%、12.73%だったのに対し、アマゾンは6.03%の伸びとなった』とあります。
出典:https://forbesjapan.com/articles/detail/26174

この記事によると、伝統的な小売業者はオンライン小売部門を強化することによって盛り返したそうです。ECで購入して店舗で受け取るという購入スタイル(BOPIS)が消費者と事業者双方にメリットがあったこと、従来型の販売とオンラインでの販売を同時に行えることで、ウォルマートやターゲットのように多数の大規模店舗を持つ業者に有利に働いたことが業績好調の理由だとあります。

そうした、オンラインとオフラインの両方をうまく組み合わせることで息を吹き返しつつある小売業の米最大手のひとつであるターゲットが、スタートアップから学び、オンラインと店舗内の顧客データの接続やリアルタイムの製品レコメンデーション、パーソナライズ化のような弱点の解決策になる新しいテクノロジーを導入する計画を持ち、その有力候補企業の一つにLISNRが挙がっているのです。

LISNRの共同創業者であるクリス・オーストリッチ氏によるターゲットの幹部に対するデモの様子がLISNRのサイトにアップされています。
https://lisnr.wistia.com/medias/f8n2wglprw

動画によると、LISNRは音声データ通信によってカスタマージャーニーにおけるストレスをなくし、スピード、カスタマーエクスペリエンス、パーソナライズ化、チェックアウトとなどをシームレスにすることができる、としています。

今、小売市場が直面する課題は、たくさんのタッチポイントがあること。そして、それに付随したたくさんのテクノロジーやデバイスが必要なことだとオーストリッチ氏は述べています。
それを解決するのがLISNRが提供する"One technology. One solution"であると氏は強調しています。

「メトロ・ターゲット・リテール・アクセラレーター」で選ばれたスタートアップは、正式な提携は保証されていないものの、ターゲット店舗内で自社技術を試験運用するとのこと。

QRコードやバーコード、NFCにとって変わる決済や認証プラットフォームが"聞こえない音"になる日は、案外近いかもしれません。そして、こうした海外での動きが定着したあかつきには、同じトレンドが日本にやってくる可能性は非常に高いと言えるでしょう。

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Smart Sound Lab
(スマートサウンドラボ)

URL: https://smartsoundlab.com
所長:安田 寛 Hiroshi Yasuda

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