WHOが新型コロナウイルス感染症の流行を「パンデミック」と発表したのが2020年3月11日。わずか半年で、私たちの生活や価値観は一変しました。
例えば、SSLでは、これまでキャッシュレスに関する消費者の動向をたびたび調査してきました。政府や民間企業の継続的な努力の甲斐あって、キャッシュレス後進国だった日本も、少しずつキャッシュレス文化が浸透しつつあることが調査の度に明らかになりました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大以降は、「現金を触りたくない」という消費者が短期間で増加し、スマホ決済の需要が一気に高まったと言います。
他にもECでのショッピングや、在宅勤務によるビデオ会議をはじめ、"ステイホーム"を余儀なくされた消費者にとって、スマートフォンがこれまで以上に大きな役割を担うようになりました。
モバイル市場データプラットフォームを提供するApp Annie Japan 株式会社(アップアニー社、本社:サンフランシスコ市、代表:Ted Krantz)が発表した2020年上半期(1~6月)のモバイル市場における各業界の動向をまとめたレポートによると、コロナウイルスは、すでに2~3年がかりで普及しつつあったモバイルトレンドを前進させ、モバイルファーストな世界への移⾏を加速させたと断言しています。
今回は、コロナ禍におけるモバイルライフのトレンドをご紹介いたします。
【今、注目のスマホアプリとは】
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛によって大きく変わったことの代表格が働き方ではないでしょうか。
多くの人が在宅勤務となったことで、ビデオ会議サービスは爆発的ヒットとなっています。中でもZoomは同業他社の中でも群を抜いていて、2020年5月〜7月の売上は、前年同期比4.6倍、純利益はなんと34倍と桁違いの成長を見せています。
ビデオ会議サービス以外にも、ゲーム市場やEコマース市場なども活況です。
先に紹介したアップアニー社のレポートでも、2020年5月に全世界のアプリストア消費支出が過去最高を記録したとありました。つまり、生活の変化が強いられる中で、多くの人がスマートフォンの利便性を再認識し、これまで以上にスマートフォンを活用する機会が増えていることがわかります。
それではコロナ禍におけるモバイルアプリには、どのようなトレンドがあるのでしょうか。SSLが注目しているスマホアプリのジャンルを3つご紹介したいと思います。
ひとつ目は、健康系アプリです。
米国の調査会社SensorTowerによると、新型コロナウイルスの影響で、健康意識が高まり、健康管理やフィットネス用のアプリのダウンロードが増加しているといいます。その数なんと世界で約6億5600万回!前年同期比47%UPで過去最高を記録したそうです。
日本でもヨガやフィットネスなど、外出自粛により生じた運動不足を解消するためのアプリが好調です。例えば、フィットネス・トラッキング・アプリ「ASICS Runkeeper」(アシックス ランキーパー)」の日本における2020年4月の登録者数は、昨年の同時期と比較して373%増加し、月間アクティブユーザーは63%増加と、ランニングのニーズがこれまで以上に高まっているのがわかります。
▶︎ASICS Runkeeper
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/runkeeper
また、メディテーション(瞑想)アプリもダウンロード数が急増しています。世界ランキングで常に上位をキープしているアプリが『Calm』。残念ながら日本語が未対応ですが、無料で入手可能です。日本語対応しているもので評価が高いものだと『Meditopia』でしょうか。
▶︎Calm
https://app.www.calm.com/meditate
▶︎Meditopia
https://web.meditopia.com/jp
もう一つ、健康意識が高まり注目されているのが、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)サービスです。「自分の健康状態を管理したい」という個人のニーズだけでなく、「従業員の健康状態を把握しておきたい」という企業のニーズも高まり急成長を遂げています。政府も国民の健康づくりにこのPHRを推進したい考えです。コロナ禍で、身体だけでなく心の健康を維持したいというのは万国共通のようですね。
次にご紹介するSSLが注目しているスマホアプリのジャンルはファイナンスアプリです。冒頭でも触れたように、感染リスクを恐れてスマホ決済にする人も増え、キャッシュレス関連のアプリや、お金の管理や投資をスマホで行う人も急増中です。
ファイナンスアプリのダウンロードランキングでは、1位が「PayPay」、2位が「d払い」、3位に「ゆうちょ通帳アプリ」となっています。外出自粛から店舗でのATM利用が減ったことで、銀行系のアプリもダウンロード数を伸ばしています。
▶︎PayPay
https://paypay.ne.jp/
▶︎d払い
https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
▶︎ゆうちょ通帳アプリ
https://www.jp-bank.japanpost.jp/app/app_index.html
また、株式などに関わるフィンテック系アプリの人気も高まっています。App Storeのファイナンスカテゴリーの有料アプリランキングでは、1位が「FX検証」、2位が「US Debt Clock.org」、3位が「世界の株価」と多くの人が⾦融市場、世界経済の動向を常に把握するために、モバイルに頼っていることがわかります。
▶︎ FX検証
https://apps.apple.com/jp/app/fx%E6%A4%9C%E8%A8%BC/id1516365841
▶︎ US Debt Clock.org
https://apps.apple.com/jp/app/us-debt-clock-org/id929822826
https://play.google.com/store/apps/details?id=org.usdebtclock&hl=en
▶︎世界の株価
https://myindex.jp/app/worldstock/
コロナショックで経済が不安定で、先行きが不透明なことから、資産形成の必要性を感じている人も多いのでしょう。ここ数年で成長している国内フィンテック市場も、コロナ禍でさらに成長することが予測されています。
最後にご紹介するのが飲食系のアプリです。
外出自粛をきっかけに特に需要が高まったのがテイクアウトアプリです。中でも急成長を遂げたのが「menu」です。2020年3月のユーザー数は前月比の986%アップと大きく伸ばしています。
menuは、「どこのお店がテイクアウトできるかマップ上で探せる」アプリで、外食の自粛ムードが高まる中、テイクアウトの需要が高まり、一気に人気になったというわけです。
▶︎ menu
https://service.menu.inc/service/
外出自粛規制が緩和される中で、営業を再開される飲食店やサロンも増えてきました。しかし、お店側には感染予防や感染拡大対策が求められます。そんな社会的責任を担う店舗にご紹介したいのが、コロナ禍に対応するためにバージョンアップした販促アプリ「Zeetle」です。
デジタルポイントカードアプリとして1300万ダウンロード、加盟店6000店舗の実績を持つZeetle CSですが、今回新たにチェックイン機能が加わりました。
▶︎ Zeetle CS
https://www.sstinc.co.jp/products/zeetle-cs.html
https://apps.apple.com/jp/app/zeetle-lian-luo-xianwo-yi/id473605282
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.sstouch.jiriri&hl=ja
バージョンアップしたZeetle CSの特長は3つ。
まずチェックイン機能が搭載されたことで、ユーザーはお店に入ってアプリを立ち上げるだけでポイント付与や来店ログが取れるようになり「密接・接近」を避けられるという点。
次に、個人情報が一切不要という点。ユーザーにとっては個人情報入力の手間や漏洩の心配ゼロ。店舗も新規会員獲得のハードルが低いと好評です。
最後が、「コロナ追跡システム」機能です。
通常は、販促として活用される特定の対象にメッセージを送信するプッシュ機能ですが、万一訪れた店舗でクラスターが発生した際は、「コロナ追跡システム」としても利用が可能です。
「コロナ追跡システム」は、自分のためではなく、他者のための感染拡大防止を目的としたシステムです。それだけのためにアプリをインストールするのは、ユーザーの善意に完全に頼る形になり、普及を難しくさせます。しかし、Zeetle CSのようにコロナ対策に加え、おトクなクーポンや情報が得られるとなれば、ユーザーのモチベーションも変わってくると思います。
コロナ禍で、ユーザーがモバイルファーストのニューノーマルな生活様式に移行していることは明らかです。スマホ無くしては、何もできないと言っても過言ではありません。
つまり企業には、これまで以上にモバイルに力を入れ、ユーザーが求める機能やサービスを提供することが求められ、それが企業存続・成長の鍵となっていくでしょう。同時に、プライバシー保護や情報管理体制を徹底することも求められます。そうやってユーザーの理解を得ることで、はじめてアプリに対する信頼を得ることができるのです。
SSLでは今後も、モバイルトレンドや世界動向に目を光らせていきたいと思います。
(参照ページ)
https://sensortower.com/blog/health-and-fitness-app-record-download-growth