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モバイル決済大国中国・都市部の実態を上海・重慶で徹底調査 現地住人のモバイル決済生活から見えてきた中国の「今」 前編

「キャッシュレス」という言葉を目にする、または耳にする機会が増えました。
現金大好きの日本人にとっては、ハードルが高いような気もしますが、国はキャッシュレス促進を急いでいます。
「キャッシュレス」と聞いて頭に浮かぶのは、やはり、あの国ではないでしょうか。
そうです。世界一の人口を有する国、中国。人口18億9千万人に対し、そのキャッシュレス比率は60%と驚異的な数字を持っています。

しかし、先日旅行で上海へ行った日本人に現地での支払いについて尋ねると「現金を使った」と言っていました。
中国は本当にキャッシュレス大国なのでしょうか?

そこで、より快適なスマートフォンライフを創造するために研究調査しているスマートサウンドラボ(以下、SSL)では、モバイル決済に関する生活とキャッシュレスの実態について、上海と重慶に暮らす各5人計10人に調査を依頼し、その生活に密着しました。

スマホ決済率 日本の都市部では25%なのに対し、中国都市部では100%

中国都市部のモバイル決済の実情に迫る前に、日本の現状を、まずおさらいしておきましょう。

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(スマートサウンドラボ調べ)

SSLが北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代〜50代の男女200人に、現在利用しているスマホ決済サービスについて調査をしたところ、サービスの種類は13以上に及び、サービス別の利用率もそれぞれ3%〜32%とかなりバラつきが見られました。
つまり、日本では事業者側によるスマホ決済のインフラ整備が不十分で、ユーザーが用途や利用する場所によって決済サービスを使い分けている「事業者有利」といった状態です。

それに対し、中国のスマホ決済サービスの選択肢はわずか2つ。
みなさんご存知の「支付宝(Alipay/アリペイ)」(以下、アリペイ)と「微信支付(WeChat Payment/ウィーチャットペイ)」(以下、ウィーチャットペイ)の2社でほぼ市場を独占しています。
アリペイは、インターネットショッピングモールの淘宝網(タオバオ)を運営しているアリババ・グループ・ホールディング(以下、アリババ)が提供している電子決済サービスであり、ウィーチャットペイは、騰訊控股(テンセント)が運営しているコミュニケーションアプリのWeChat(微信/ウィーチャット)に内蔵された電子決済サービスです。

百貨店はもちろん、個人経営のちいさなお店から、路上の雑貨店や市場、公共料金の支払いからローンの支払いまで広く導入されています。

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(スマートサウンドラボ調べ)

実際に、アリペイ、ウィーチャットペイを自身のスマートフォンにダウンロードしているをかたずねたところ、上海、重慶共に、全員がスマホ決済サービスを持っており、さらには1人を除く9人がアリペイとウィーチャットペイの両方を持っていました。

これら2つのスマホ決済サービスを利用するには、事前に専用アプリをダウンロードし、そのアプリとクレジットカードもしくはデビットカードと紐付けるか、アプリ内の口座へチャージをする必要があります。

支払いの際には、スマートフォン内蔵のカメラで事業者側が提示するQRコードを読めば決済完了です。クレジットカードまたはデビットカードとの紐付けの場合は、登録したカードの口座から消費額が引き落とされる仕組みとなっており、アプリ内の口座にチャージした場合は、プリペイドカードのように使われていきます。

ユーザー第一主義のスマホ決済

モバイル決済以外に、多くの中国人が利用しているのが、13億枚以上発行されているという中国のデビットカード『銀聯』です。

先ほどの調査結果を見ても、10人中8人が銀聯カードを持っていました。
このカードは、2002年に、中国政府主導で中国人民銀行が中心となり設立された中国国内の銀行を結ぶ決済ネットワークです。中国の銀行が発行するキャッシュカードには銀聯のロゴマークが付けられ、決済すると利用している銀行の残高から代金がすぐに引き落とされる仕組みになっています。加盟店も125の国や地域に1,000万店舗以上あり、今や世界7大カードの一つと言われています。

現地調査に協力してくれた10人にアリペイ、ウィーチャットペイ、銀聯カードを使い分けているかたずねたところ、100%が使い分けていると回答しました。

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(スマートサウンドラボ調べ)

それぞれの用途についても調査をおこなったところ、金額が大きければ大きいほど銀聯カードの使用率は高くなる傾向にあり、また、オンラインショップはアリペイを利用し、外食時に割り勘をする時はウィーチャットペイを使う傾向が強いこともわかりました。それ以外は、アリペイとウィーチャットペイを気分で使い分けるそうです。つまり、気分で使い分けられるほど、ユーザーに選択肢があるということです。ここが日本とはだいぶ違います。

実際にスマホ決済の現場を撮影してもらいましたが、スマホ決済インフラが整備されていることが一目瞭然です。コンビニや飲食店はもちろん、市場や露店まで。写真にはありませんが、ホームレスが募る寄付もキャッシュレスだそうです。今、中国で現金で支払いをしているのは旅行客かスマートフォンを持っていないお年寄りだけだそうです。

中国は正真正銘、キャッシュレス先進国であり、日本のはるか先を走っていることが本調査で分かりました。

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まとめ

  • 中国都市部におけるスマホ決済普及率は100%
  • 現金を使うのは、外国人旅行者とスマートフォンを持っていないお年寄りだけ
  • たった3つのツールをユーザー第一主義で、どこでも使い分けることができている
  • 中国はキャッシュレス先進国である

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【中国現地ににおけるスマホ決済 実態把握調査】
調査主体:Smart Sound Lab
調査場所:上海、重慶
調査対象:25歳〜45歳の男女10人(上海:女性3人、男性2人 重慶:女性4人、男性1人)
調査時期:2018年5月
※ 本文の数値は四捨五入した整数で表記しています。
※ 百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。

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Smart Sound Lab
(スマートサウンドラボ)

URL: https://smartsoundlab.com
所長:安田 寛 Hiroshi Yasuda

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